■■■SHOCKING PINK

日々の徒然をダラダラと。

恋の門


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恋の門』を観てまいりました。
原作マンガの初版刊行当時に1巻を立ち読みしただけだったので、
ストーリーの導入部分のおぼろげな記憶があるのみの状態。
松尾スズキについても全く明るくなく、まっさらな状態で観に行けたので、
自分の中に変な先入観も無くて良かったです。

感想を一言でいうなら、オモロくて物悲しかったです。

以下ネタバレありダラダラ感想文。

映画館で貰ったチラシの中にあった各著名人のコメント、カネコアツシの「壊れていないと生きていけないあなたなら、必ずやなんか知んないけどやけに泣けてしまうことでしょう」に激しく同感。
恋乃も門も壊れてるけど、恋乃のぶっ壊れ方と言ったら。
そして門が石を捨てて普通に紙とペンでマンガを描き始め、プロデビュー=成功への足掛かりを掴んだとこで映画は終わっています。
恋乃は、どうしたのだろうか。新人マンガ賞を受賞して、自力で手に入れた賞金で借金を返済して、その後どうしたのだろうか。
ちゃんとマンガ家としてあの子はやっていけてるのかしら‥‥と、観終えてとても不安になってしまいました。
ラストシーンで出てきたマンガ雑誌の表紙に、恋乃のペンネームは載ってたのかしら。恋乃が描くのはそれとも他誌だったのかしら。

この映画は恋乃と門、ふたりの主人公の成長物語でもあると思うのです。
あれだけ石のマンガにこだわり続けて食うや食わずの生活をしてきた門が、そんなんじゃ社会人としてダメなんだ!と現実との折り合いをつけてペンを持ったということは、すごい成長です。大人になり度の高い行動と思えます。
でも、恋乃は、何も変わっていないような気がするのです。コスプレも、下手の横好きで売れない同人誌を描き続けることも、声優にうつつをぬかすことも、趣味と実益を兼ねてコスプレイメクラで働くことも、本業のOL仕事がおろそかになってクビになるのも、それどうなのダメじゃんイタイじゃんのオンパレード。
オタクでも良いのです。壊れていなけりゃ自我が保てないのなら、壊れててもいい。でもそれは程度問題です、自分で稼がなきゃ。
うまく言えませんが。新人賞を取って、自力で借金を返せて、その後ちゃんとマンガ家として働けてるのよ!って姿を見せて貰えないと、恋乃の事が心配でならないのですよ‥‥。恋乃のオタを公認してくれちゃう親御さんだし。ってぇか親御さん方がオタ街道まい進しすぎて事業失敗してるし。シッカリしろよ証家!!(涙目で檄を飛ばす気持ち)
恋乃はちゃんと大人になれたのかしら、とそれだけが気がかりです。


まぁ、そんな心配は観終えた後にそういえばナー‥‥と思いついたことなのです。
観ている最中は大変楽しかったです。笑いの間とか。楽しく笑わせていただけました。

あとコレは、私が同人屋あがりのオタならではの感想なのでしょうが。
毬藻田がマンガを描くシーンで、ペンを包帯で手に縛って固定するとこで、劇場内でちょっと笑いが漏れてたのですがー‥‥アレは誇張でも何でもないのですよ。
徹夜でマンガを描くというのは、物凄い労力を必要とするので、普通に握力も落ちてくるし、ペンも握れなくなることもあるのですー‥‥。
小さく切ったサロンパスをコメカミに張って睡魔をしのいだりとか、するのですよ。
集中しすぎて夜中に楽しくなってきて(何か脳内物質が出てるんでしょうな)、「気持ちイイ〜!!」ってなるのも、本当なんですよ。ただの白い紙がマンガ原画になっていく様は、我が作業ならば本当に楽しいものです。他人の原稿を手伝ってても完成に向かってくのは楽しいものです。

有明ビッグサイトも、コミケの長蛇のひとたちも、コミケ会場とアキバでしか普通に歩けないようなファッションセンスのにーさんたちも、スクリーンを通して久しぶりに見て、なんだか懐かしく胸キュンな気持ちになりました。
こゆ気持ちになれるのは私にコミケに出入りしてた過去があるからで。オノレの経験値を誇らしく思いましたw
しかし恋乃、壁サークルなのに店番1人?オタ友達いないのか??
‥‥とかまぁオタ的ツッコミ部分がありはしましたが良いのです。重箱の隅だし。



近日、原作マンガを読もうと思います。
良い映画でした。